クロス屋さんの道具で、一番高価で重要なのがのり付け機。
のり付け機には手動と自動のものがあって、どちらを買うべきか悩みますよね?
クロス職人として仕事をしていくためには、断然自動のり付け機が便利です。
昔から使われているのは手動のり付け機ですよね?
自動のり付け機と何が違うんですか?
手動のり付け機を長年使ってきたけど、やっぱり自動のり付け機の方が断然作業効率が良いね!
DIYや補助的に使用するのなら、手動のり付け機を検討しても良いですね。
この記事では、職人歴27年の親方が、手動のり付け機・自動のり付け機の両方を使ってきた経験から、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
手動のり付け機のメリット・デメリット
私が長年使っていたのは、極東産機のβ-EDという機械で、今も手元にありますが、最近はほとんど使いません。
同シリーズは、現在もバージョンアップを重ねつつ販売されていて、現行モデルはのり箱にのり自動攪拌機(別売り)を接続できる機構が追加されています。
それでは、手動のり付け機のメリット・デメリットから見ていきましょう。
手動のり付け機のメリット
価格が安い
自動のり付け機と比べると、手動のり付け機の価格は1/2〜1/3程度です。
軽く、一度に運べる
自動のり付け機と比べると、手動のり付け機は軽く、1人でも1度で運べます。
設置・後片付け・洗浄が比較的楽にできます。
電源がなくても使える
手動のり付け機は、電源がなくても使え、スペースさえあれば使う場所を選びません。
手動のり付け機のデメリット
すぐに使えるわけでは無い
手動のり付け機をプロとして使いこなすのにはコツと慣れが必要で、使いこなせるようになるには時間がかかります。
時間がかかる
手動のり付け機は、セットしたクロスを手で前面に引っ張る必要があります。
1回で引っ張れるのがおよそ60~70cm程度。
1日に使いたいクロスの量を、手動のり付け機でのり付けすると、慣れた職人でも2〜3時間はかかります。
疲れる
手動のり付け機は、セットしたクロスを両手で左右平行に引っ張る必要があり、肩・腕が疲れます。
力のいる作業で、腰が痛くなり、背中も痛くなる…けっこうな重労働です。
肉体的な負担も大きく、疲れます。
自動のり付け機のメリット・デメリット
クロス職人として、効率良く仕事をするためには自動のり付け機は欠かせません。
しかし、自動のり付け機にもデメリットはあるはず。
ここからは、自動のり付け機のメリット・デメリットについて、実際に使ってみた経験から紹介していきます。
自動のり付け機のメリット
誰でも使える
自動のり付け機は、のり付け後のクロスがまっすぐ勝手に出てくるので技術がいりません。
経験の少ない人でも簡単に使えます。
早い
自動のり付け機にはスリッターが付いています。
スリッターというのはクロスの「耳」と呼ばれる余分な端部分をカットする装置。
のり付けと同時にスリッターがクロスの耳をカットしてくれるので、その後の作業がしやすく、作業効率が上がります。
疲れない
自動のり付け機の操作パネルに数値を入力しておけば、自動で必要枚数を必要な長さの分のり付けしてくれます。
人は、機械から出てくるのり付け後のクロスを、カットしてたたむだけ、と簡単なので疲れません。
自動のり付け機のデメリット
高価
自動のり付け機は、安い機種でも20万円代以上と高価です。
しかし、その分仕事もしてくれるので、クロス職人の相棒的存在。
購入後のメンテナンスは必要ですが、何十年と使えるものなので先行投資と割り切りましょう。
重い
自動のり付け機は、およそ35㎏以上と、手動のり付け機と比べると10㎏くらい重く、1人で一度には運べません。
本体・スリーッター部分・脚部分、と3つのパーツに分かれるので、分けて運びます。
めんどうな時は、本体に脚部分を付けたまま運ぶね。
現場内では、脚に付いているキャスターを利用して、そのままで移動するよ。
電源がないと使えない
自動のり付け機の動力は電気なので、電源が無い場所では使えません。
「現場に電源があるか」を事前に確認する必要があります。
自動のり付け機には寿命がある?
ところで、自動のり付け機はどれくらい長く使えるんですか?
メンテナンス次第で20~30年は使えるね。
自動のり付け機を長く使っていると、スリッターの刃やキャスター、ローラーなどの部品がすり減ってくるので交換が必要です。
交換部品によっては高価なものもあり、「部品交換をして長く使うか」、「いっそ新品に買替えるか…」と考え始めるきっかけになることも。
メーカーが新しい機種を発売するタイミングでも、買替えを検討する職人さんが多いようです。
私が今使用している自動のり付け機は、「KYOKUTO Hiβ(ハイベータ)マスターⅡ」。
前に使っていた機械を買替えるタイミングで、その時の一番新しい機種を選んだよ。
壁紙自動のり付け機のメーカーは極東産機(KYOKUTO)、ヤヨイ化学(YAYOI)が人気。
長く使うためにも、購入時は「交換部品の手に入りやすさ」も検討材料のひとつに加えてくださいね。













