クロス職人で「のり自動攪拌機」を使っている人は多いと思います。
もし、まだ使っていない職人さん、使おうか迷っている職人さんがいるのなら、「のり自動攪拌機」を使うことを強くおすすめしたい!
のりを攪拌するのにかけていた時間を他の作業に使えるから、仕事がはかどるよ。
特に、「のり自動攪拌機」と「自動壁紙のり付機」をセットで使うと、作業効率がグンと上がってとっても便利!
この記事では、「のり自動攪拌機導入が仕事にどう影響するのか」、現役クロス職人の親方が実際に使って実感しているメリット・デメリットを紹介します。
普段、希釈式のりを使っているけど「のり自動撹拌機」を使っていない人、「のり自動撹拌機」の購入を検討している人はぜひ最後まで読んで参考にしてください。
のりの攪拌方法はその後のクロス貼りに影響するのか?
のりを「手動で撹拌」した場合と、のりを「のり自動撹拌機」で攪拌した場合の違いから説明します。
手動でのりを攪拌する時って道具は使わないんですか?
手動って言っても簡単な電動工具を使うよ。
電動撹拌機を手で持って、のりの入ったバケツの中に入れて動かしながら攪拌するんだ。

この記事中では
- 「手動でのりを攪拌する」=大きなドリルのような電動撹拌機を使ってのりを練ること
- 「のり自動撹拌機」=連動供給機能付きの自動壁紙糊付機とのり自動撹拌供給機をセットで使うこと
と表現します。
どうしてのりを攪拌する必要があるのか
クロス職人が使うのりって箱から出してすぐには使えないんですか?
一般的にクロス職人がクロスを貼る時に使うのりは、業務用で、段ボール箱に入った状態で仕入れます。
業務用ののりはすぐに使える状態ではなく、水で薄めて使う希釈タイプがほとんど。
箱から出したのりは液体ではなく半固体なので、「水で薄める」にはちょっとした労力が必要になってきます。
のりを大まかに崩してから規定量の水を加え、一定の濃度になるようむらなく攪拌する必要があるのです。
「手動でのりを攪拌する」のと「のり自動撹拌機」ではのりの仕上がり具合に差が出る。
手動でのりを攪拌する場合
手動でのりを攪拌する場合、攪拌時間が充分でないと完全に溶けきらないのりの粒(のりだま)が残ってしまいます。
電動攪拌機を手に持ち、バケツ内の隅々までかき混ぜてのりだまの無い状態にするのにかかる時間は約20分程。
それでも、電動攪拌機は攪拌するプロペラ部分を容器の上から入れるため、底の方に濃度の濃いのりが残ってしまうことが多々あります。
かと言って、底の方まできれいに溶かそうとして攪拌機を下の方へグッと入れてしまうと、バケツの底面を削ってしまうことも。
削れてしまったバケツがのりの中に混入してしまうと困りますね。
のり自動攪拌機を使う場合
一方、のり自動撹拌機はのりを攪拌するためのプロペラが容器の底辺に付いてます。
そのため下の方に「濃度の濃いのりが残ってしまう」ことがなく、「均一な濃度ののり」ができあがります。

キレイに攪拌されたのりは”のり本来の性能”が発揮される。
クロスのりは各メーカーがクロスをキレイに貼るための性能を研究し、施工パターン別に様々な種類の製品があります。
その性能は、正しい濃度に希釈された時に発揮されるように作られています。
のりが正しく撹拌されず、のりだまが残っていたり、濃度にムラがあると、クロスの仕上がりにも影響が出てしまうので気を付けたいポイントです。
・「のりだまが残ったのり」を使ってクロスを貼ると、のりだま部分のクロス表面が膨らんだ状態になってしまいます。
・のりの濃度にムラがあると乾く速度が変わってくるので、はがれやジョイントの目スキなどのりが原因の不具合が出てしまうこともあります。
のり自動撹拌機を導入するメリットは?
ここからは、現役職人の親方が実感している「のり自動撹拌機」を導入するメリットを紹介します。

のり自動撹拌機のメリットは断然時短!
例えば、新築の戸建て現場で500m程のクロスを貼る場合、業務用のクロスのりがおよそ3箱必要になります。
3箱ののりを攪拌する手順を「手動でのりを攪拌する場合」と「のり自動撹拌機を使う場合」それぞれ見ていきましょう。
攪拌する時は1回にのり1箱分を使います。
手動でのりを攪拌する場合
①準備:箱からのりを取り出し、容器に入れて大まかに崩す。規定量の水を入れる。
②のりを攪拌する:20分程その場で作業。
③のりの補充:「のり付機」ののり箱を開けて、ひしゃくでのりを注ぎ入れる。
(この時、こぼれたのりはふき取るなどの手間が発生する場合もある。)
④片付け:「電動撹拌機」は使うたびに洗う。
のり3箱分なので①~④までの過程を3回繰り返します。
特に③のりの補充は、15~16回程繰り返すことに。(1回の補充で貼れるクロスの量は30m程度として。)
のり自動攪拌機を使う場合
①準備:箱からのりを取り出し、容器に入れて大まかに崩す。規定量の水を入れる。
②のりを攪拌する:20分程かかるが、「のり自動撹拌機」が自動で動いてくれるので、その間 は他の作業ができる。
③のりの補充:「のり付機」と連動しているので、手元のスイッチを押すだけ。
④片付け:「のり自動撹拌機」は使うたびに洗わなくても大丈夫。
のり3箱分ですが、①の準備を3回に分けて行うだけで、後はほとんどをのり自動攪拌機におまかせです。
実感として、のりの攪拌に使っていた時間が1現場で2時間半ぐらい浮いたと感じるよ。

のりが原因の不具合が減る
前述したように、のり自動攪拌機を使うと、濃度が均等で、本来の性能が正しく発揮される状態にのりを練ってくれます。
のりが原因で起こる不具合が減り、クロスの仕上がりがキレイになりますよ。
のり自動撹拌機を導入するデメリットは?
「のり自動撹拌機」のメリットをお伝えしてきましたが、デメリットもあるはずですよね。「のり自動撹拌機」にはどんなデメリットがあるか、見ていきましょう。
コストがかかる
「のり自動撹拌機」を使って仕事の効率化を図るのなら、「自動のり付け機」とセットで使わなければ意味がありません。
「自動のり付け機」だけでも相当高価なうえ、「のり自動撹拌機」をセットで買おうと思うとかなりの出費。
セットで使うためには、別売りの両機をつなげるための部品なども揃える必要があります。
しかし、どちらも一度買ってしまえば長く使えるので、すぐに元はとれます。
重いしかさばる
「のり自動撹拌機」は、大きなポリタンクの下にモーターが付いているので重いです。
例えば、KYOKUTO「NEWプラス1IRON」で重量は20㎏。
現場に持っていくために車に乗せる時、当然ながら片手では持ちあがりません。
大きさは約L500×W500×H670mmと、車のトランク内でも場所をとるし、使わない時も保管スペースは必要です。
のり自動攪拌機は早く導入したほうが良い
「のり自動撹拌機」の導入にはコストがかかりますが、使って得られるメリットの方が多いです。
特に、今までのりの撹拌に割いていた作業時間で他の作業ができるので、仕事の効率が良くなります。
体力の落ちてきた高齢クロス職人(笑)には、重い手動の撹拌機を持ち続けなくても良いという点でも大きな助けになります。
体力の省力化!
職人を長く続けるためにも考えたいね。













