クロスのりは各メーカーから色々な種類が販売されていて、どれを選ぶべきか悩む人も多いと思います。
クロスのりとの相性は使ってみないと分からないものですが、少しでものり選びの参考になればと思い、現役クロス職人がどんなのりを使っているかを紹介します。
クロスのりの種類
希釈タイプと原液タイプ
クロス職人が使うクロスのりは大きく分けると水で薄めて使う希釈タイプと希釈なしでそのまま使う原液タイプに分かれます。
クロスのりの箱に分類タイプが書かれています。
1種と2種
クロスのりの箱に1種、2種などの分類が表示してありますが、1種はでんぷん成分がメインの製品です。
2種は1種に合成樹脂系接着剤を混ぜたもので、分かりやすく言うと、「のり」に「ボンド」を混ぜたものです。
2種はさらに1号、2号に分かれ、2種1号は希釈タイプ、2種2号は原液タイプとなります。
原液タイプの方が水で薄める手間が省けて楽そうですね!
その分用意する量が増えるから現場に運び込むのが大変だし、材料代がかさむね。
クロスのりの選び方
のりの選び方は職人さんそれぞれで変わります。
例えば、のりをクロスに付けるタイミングや、クロスを貼るスピードなどで、のりに求める性能が変わってくるからです。
また、貼るクロスや下地の材質によっても選ぶのりは変わります。
クロス職人によって選ぶのりが違う
職人仲間にどんな風にのりを選んでいるのか聞いてみたので一例を紹介します。
【例①】職人Aさん
クロスのりは施工する前日につけておきたいから、アイハギ時間(※)が長いタイプを選びたい。
使っているのはヤヨイ化学のアクアマイルド。
(※アイハギ時間:のりを付けたクロスの裏紙同士が貼りついてしまうまでの時間)
【例②】職人Bさん
副資材代を少しでも抑えたいので貼れる量を増やすために希釈率(※)が高いタイプを選びたい。
ヤヨイ化学のアミノールかアクアノールを使うことが多いね。
(※希釈率:水で希釈して使う製品への水の混合比率。)
クロスや下地によって選ぶのりが変わる
特殊なクロス(※)の場合は合成樹脂系成分が入った2種ののりでないと貼れないものも有ります。
(※特殊なクロス:フィルムクロス・マグネットクロス・ホワイトボードクロス・耐久性クロスなど)
下地によってものりとの相性が良い悪いがあるので、気を付けたいところです。
また、地域によっては希釈タイプのクロスのりを使わないこともあるようです。
クロスのりは原液タイプしか使ったことがないよ。
だからのり攪拌機を使ったことがないんですよ。
元請け会社によっては、指定ののりを支給といったケースもあります。
現役クロス職人の親方が実際に使っているクロスのり
ここからは、現役クロス職人の私が長く使っているクロスのり「ヤヨイ化学 アミノール」と「ヤヨイ化学 ルーアマイルド」について紹介します。
ヤヨイ化学 アミノール
アミノールは昔からある製品で、クロスのりのスタンダード的な存在ではないでしょうか。
使っている職人さんも多いと思います。
親の代から使ってます。
使用歴が長くて使い慣れてるから、くせが分かって使いやすいね。
一時期他の製品を使ってみましたが、特にメリットを感じなかったのでまたアミノールに戻りました。
経済的にも使いやすいと感じています。
クロスによって必要な時はアミノールにサンゲツのベンリダインミックスのりや、ヤヨイ化学のプラゾールSSを混ぜて接着力を調整します。
ヤヨイ化学 ルーアマイルド
クロス職人だけではなく一般の方にでも知名度が高いので、お客様からリクエストされることもあります。
知名度が高い理由はシックハウス症候群が話題になった頃にTVコマーシャルで宣伝していたからです。
業界初のゼロホルムアルデビド壁紙用接着剤として、有名子役を起用したCMは平成10年から8年間放映されました。
TVの効果は大きいですね。
ルーアマイルドを使い続けている職人さんも多いです。
クロスのりには消費期限がある?
クロスのりにはそれぞれメーカーの推奨する有効期限があり、製造からだいたい6ヶ月以内の使用が薦められています。
古くなると、水に溶けにくくなったり、だま(ママコ)ができたり、品質が劣化して臭いが出てくることもあります。
クロスのりは計画的に仕入れましょう。