クロスのりは各メーカーからさまざまな種類が販売されていて、「どれを使ったらよい?」「どうやって選んだらよいの?」など、悩む人も多いと思います。
クロスのりの使いやすさは、実際に使ってみないと分からないもの。
少しでも「のり選びの参考になれば」と思い、この記事では「現役クロス職人がどんなのりを使っているか」「どうやって選んでいるか」などを紹介します。
クロスのりの種類
のり選びで大切なのは、貼るクロスに適したのりを選ぶこと。
そのために知っておきたい「のりの基本」から説明します。
希釈タイプと原液タイプがある
クロス職人が使うクロスのりは、大きく分けると2種類に分かれます。
・希釈タイプ:水で薄めて使う
・原液タイプ:希釈なしでそのまま使う
希釈タイプか原液タイプかは、クロスのりの箱に書かれているので、事前に確認してください。
原液タイプの方が水で薄める手間が省けて楽そうですね!
原液タイプは希釈の必要はないけど、その分用意する量が増えるから現場に運び込むのが大変だし、材料代がかさむね。
1種と2種の分類がある
クロスのりの箱に1種、2種などの分類が表示してありますが、1種はでんぷん成分がメインの製品です。
2種は1種に合成樹脂系接着剤を混ぜたもので、分かりやすく言うと、「のり」に「ボンド」を混ぜたものです。
2種はさらに1号、2号に分かれ、2種1号は希釈タイプ、2種2号は原液タイプとなります。
希釈・原液、1種・2種など、ちょっとややこしいのですが、まとめると下図のようになります。

クロスのりの選び方
のりの選び方は職人さんそれぞれで変わります。
例えば、「のりをクロスに付けるタイミング」や、「クロスを貼るスピード」などで、のりに求める性能が変わってくるからです。
また、貼るクロスや下地の材質によっても選ぶのりは変わります。
のりの選び方はクロス職人によって違う
職人仲間にどんな風にのりを選んでいるのか聞いてみたので一例を紹介します。
【例①】職人Aさんが選ぶのはアイハギ時間*が長いタイプ
(*アイハギ時間:のりを付けたクロスの裏紙同士が貼りついてしまうまでの時間)
クロスのりは施工する前日につけておきたいから、アイハギ時間が長いタイプを選びたい。
使っているのはヤヨイ化学の「アクアマイルド」。
【例②】職人Bさんが選ぶのは希釈率*が高いタイプ
(*希釈率:水で希釈して使う製品への水の混合比率。)
副資材代を少しでも抑えたいので貼れる量を増やすために希釈率が高いタイプを選びたい。
ヤヨイ化学のアミノールかアクアノールを使うことが多いね。
クロスや下地によって選ぶのりが変わる
特殊なクロス*の場合は、合成樹脂系成分が入った2種ののりでないと貼れないものも有ります。
(*特殊なクロス:フィルムクロス・マグネットクロス・ホワイトボードクロス・耐久性クロスなど)
下地によっても、のりとの相性に良い悪いがあるので、気を付けたいところです。
その他の理由でのりが選ばれることもある
どういった理由があるのかはわかりませんが、地域によっては希釈タイプのクロスのりを使わないこともあるようです。
クロスのりは原液タイプしか使ったことがないよ。
だからのり攪拌機を使ったことがないんですよ。
また、元請け会社によっては、指定ののりを支給といったケースもあります。
現役クロス職人の親方が実際に使っているクロスのり
ここからは、現役クロス職人の私が長く使っているクロスのり「ヤヨイ化学 アミノール」と「ヤヨイ化学 ルーアマイルド」について紹介します。
ヤヨイ化学 アミノール
「アミノール」は昔からある製品で、クロスのりのスタンダード的な存在ではないでしょうか。
使っている職人さんも多いと思います。
「アミノール」は親の代から使ってます。
使用歴が長くて使い慣れてるから、くせが分かって使いやすいね。
一時期 他の製品を使ってみましたが、特にメリットを感じなかったのでまた「アミノール」に戻りました。
経済的にも使いやすいと感じています。
貼るクロスの種類によって、必要な時は「アミノール」にサンゲツの「ベンリダインミックスのり」や、ヤヨイ化学の「プラゾールSS」を混ぜて接着力を調整します。
ヤヨイ化学 ルーアマイルド
「ルーアマイルド」は、クロス職人だけではなく一般の方にも知名度が高いので、お客様からリクエストされることもあります。
知名度が高い理由は、シックハウス症候群が話題になった頃に、TVコマーシャルで宣伝していたからです。
「業界初のゼロホルムアルデビド壁紙用接着剤」として、有名子役を起用したCMは平成10年から8年間放映されました。
TVのCM効果は大きいですね。
そのため「ルーアマイルド」を使い続けている職人さんも多いようです。
クロスのりには消費期限がある?
クロスのりにはそれぞれメーカーの推奨する有効期限があり、製造からだいたい6ヶ月以内の使用が薦められています。
古くなると、水に溶けにくくなったり、だま(ママコ)ができたり、品質が劣化して臭いが出てくることもあります。
クロスのりは計画的に仕入れましょう。
安い時にまとめて仕入れておきたいけど、使えなくなったら元も子もないね。
















